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type: article
title: 雑種路線的イノベーション政策試案
timestamp: 2006-11-06T00:00:00Z
profile: sorane-okf/0.1
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# 雑種路線的イノベーション政策試案

<p><a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B7%D0%C3%C4%CF%A2">経団連</a>の御手洗会長が「イノベート・ジャパン」とかいってみたり<a href="#f-6cfb0526" name="fn-6cfb0526" title="パルミザーノのパクリと思われるのが厭だったのか引っ込めた模様だが">*1</a>，安部政権でも<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A4%A5%CE%A5%D9%A1%BC%A5%B7%A5%E7%A5%F3">イノベーション</a>を推進するという．こんな<a href="http://www.kantei.go.jp/jp/innovation/index.html">&#x30DA;&#x30FC;&#x30B8;</a>までできているし，なかなか気合いが入っているようだ．わたしは政府が<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A4%A5%CE%A5%D9%A1%BC%A5%B7%A5%E7%A5%F3">イノベーション</a>を促すことは素晴らしいと歓迎する一方で，安直な<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A4%A5%CE%A5%D9%A1%BC%A5%B7%A5%E7%A5%F3">イノベーション</a>(による生産性の向上)に対する期待が，<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BE%AF%BB%D2%B9%E2%CE%F0%B2%BD">少子高齢化</a>や<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BA%E2%C0%AF%BA%C6%B7%FA">財政再建</a>といった政策課題を放置するための口実として使われることのないよう注視していく必要を感じている．

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現実問題として，<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A4%A5%CE%A5%D9%A1%BC%A5%B7%A5%E7%A5%F3">イノベーション</a>とは民意を集約することで生まれるものではない．消費者ニーズが<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A4%A5%CE%A5%D9%A1%BC%A5%B7%A5%E7%A5%F3">イノベーション</a>を生むきっかけとなることもあるが，それでさえ，どの声を拾うか悩み，何かしらギャップを埋める創意工夫を思いつくのは創造的な個人や組織の企業家精神である．単純に政治的に集約された期待は<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A4%A5%CE%A5%D9%A1%BC%A5%B7%A5%E7%A5%F3">イノベーション</a>に結びつかないことが多いのではないか．<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%C8%A1%BC%A5%C8%A5%ED%A5%B8%A1%BC">トートロジー</a>になるが，誰もが思いつくこと自体が新しいア<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A4%A5%C7%A5%A2">イデア</a>ではないし，誰もが思いつくのに誰も実現していないことというのは，それなりに実現できない理由があるのである．<br />
歴史を振り返ると倣い旋盤や<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BE%F8%B5%A4%B5%A1%B4%D8">蒸気機関</a>，自動車，コンピュータなど，人々の生産性を飛躍的に引き上げ経済の成長率を押し上げた要因があり，それらが事後的に<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A4%A5%CE%A5%D9%A1%BC%A5%B7%A5%E7%A5%F3">イノベーション</a>と呼ばれた．この順番を履き違えてはいけない．これから<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A4%A5%CE%A5%D9%A1%BC%A5%B7%A5%E7%A5%F3">イノベーション</a>が起こることを見越して，抜本的な<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BE%AF%BB%D2%B2%BD%C2%D0%BA%F6">少子化対策</a>や<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BA%E2%C0%AF%BA%C6%B7%FA">財政再建</a>を先送りするのは本末転倒である．<br />
政府が行うべき<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A4%A5%CE%A5%D9%A1%BC%A5%B7%A5%E7%A5%F3">イノベーション</a>政策があるとすれば，それは<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A4%A5%CE%A5%D9%A1%BC%A5%B7%A5%E7%A5%F3">イノベーション</a>によって潜在成長率が嵩上げされることを夢想して夢物語を描き<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C4%CB%A4%DF%A4%F2%C8%BC%A4%A6%B2%FE%B3%D7">痛みを伴う改革</a>を先送りすることではなく，<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A4%A5%CE%A5%D9%A1%BC%A5%B7%A5%E7%A5%F3">イノベーション</a>に期待せず，<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A4%A5%CE%A5%D9%A1%BC%A5%B7%A5%E7%A5%F3">イノベーション</a>の阻害要因を除去すると同時に，<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A4%A5%CE%A5%D9%A1%BC%A5%B7%A5%E7%A5%F3">イノベーション</a>の発現要因を積極的につくっていくことであるべきだ．<br />
まず戦後成長の時代に染み着いた大企業主導のキャッチアップ・プロセスを捨て，重層的な下請け構造に代わる産業に於ける信頼メ<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%AB%A5%CB">カニ</a>ズムを構築すべきである．米国では大企業がグローバル市場での厳しい競争の中で持続的<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A4%A5%CE%A5%D9%A1%BC%A5%B7%A5%E7%A5%F3">イノベーション</a>に投資する一方で，<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%D9%A5%F3%A5%C1%A5%E3%A1%BC%B4%EB%B6%C8">ベンチャー企業</a>が既存秩序のルールを変えるような破壊的<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A4%A5%CE%A5%D9%A1%BC%A5%B7%A5%E7%A5%F3">イノベーション</a>を研究開発している．それは金融だけでなく，人材や<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BE%A6%CE%AE">商流</a>の面でも<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%D9%A5%F3%A5%C1%A5%E3%A1%BC%B4%EB%B6%C8">ベンチャー企業</a>にハンディがないからだ．日本では大企業の<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BE%A6%CE%AE">商流</a>から外されると商売できない世界が多く残っているために，<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%D9%A5%F3%A5%C1%A5%E3%A1%BC%B4%EB%B6%C8">ベンチャー企業</a>が破壊的<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A4%A5%CE%A5%D9%A1%BC%A5%B7%A5%E7%A5%F3">イノベーション</a>を起こしても大企業から睨まれ事業売却のアテもない．<br />
次に教育の質を担保しつつ多様化を図ることである．箸の上げ下ろしまで教育指導要領に書くようでは，教育の世界で<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A4%A5%CE%A5%D9%A1%BC%A5%B7%A5%E7%A5%F3">イノベーション</a>は生まれない．イノベーティブな生徒が自分の強みを伸ばすこともできない．受験シフトで必須科目を教えない高校のことが問題になったが，ある科目を何コマ教えれば単位を履修したこととするという発想は封建的だ．ダメな先生が教えれば100コマ教えても生徒は寝ているだろうし，優秀な先生が好奇心を引き出せば，20コマで要点を教えれば，あとは生徒が自習でどうにかするだろう．過程ではなく結果を管理しなければならない．例えば<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%BB%A5%F3%A5%BF%A1%BC%BB%EE%B8%B3">センター試験</a>を廃止して，全ての学生に大検を受けさせればいいではないか．学校で世界史を教えたかなんてどうでもいい．世界史のテストで所期の点数を取れていればよい．結果で品質管理するのだから道具である教科書も管理する必要はない．故に<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B6%B5%B2%CA%BD%F1%B8%A1%C4%EA">教科書検定</a>制度は廃止すべきだ．どんな偏向教育をしてもよいが，テストの<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%CE%F2%BB%CB%B4%D1">歴史観</a>も理解できる教え方をする必要がある．それだけだと特定の思想に引っ張られる懸念があるので，例えば中学・高校の6年間で3人以上の先生から教わるようにするとか，ローテーションを義務化するのも一案だ．のっぺりした教科書的<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%CE%F2%BB%CB%B4%D1">歴史観</a>を無気力な教師から学ぶより，生きた<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%CE%F2%BB%CB%B4%D1">歴史観</a>を持った個性豊かな先生に当たったほうが思想への免疫もつくのではないだろうか．<br />
最後に，適度に異質な人々が出合いつつも，それぞれのひとが腰を据えて仕事に励んで職業能力を蓄積でき，その能力に応じて報われると期待できる仕組みをつくることが必要だが，そのためには将来の<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%CD%BD%B8%AB%B2%C4%C7%BD%C0%AD">予見可能性</a>と<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%CE%AE%C6%B0%C0%AD">流動性</a>とのバランスをどう取るかが重要だ．政治の宿命ではあるが，圧力団体からの主張を束ねてホチキスで止めても，通りいっぺんの問題意識を踏まえつつ，立場の保障されている人々の<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B4%FB%C6%C0%B8%A2%B1%D7">既得権益</a>を隠微に温存するような提案しか出てこないのではないか．企業だけでなく公務員も含めた解雇法制を整備しつつ，<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C8%F3%C0%B5%B5%AC%B8%DB%CD%D1">非正規雇用</a>に対する<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BC%D2%B2%F1%CA%DD%BE%E3">社会保障</a>制度を充実させることが望ましい．非自発的過労や過労の常態化に対する救済を強化する一方で，労働時間規制の運用は弾力化することも一案だ．米国のVCが投資先を決める時，必ずこっそり土日に偵察して駐車場に車が止まっていなかったら投資しない，という小話を聞いたことがある．希望さえあれば人の倍は働いても楽しいものだし，人一倍努力すること自体を否定することは，ともすれば再チャレンジや階層間移動を阻害することになる．<br />
安部政権の推進する<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A4%A5%CE%A5%D9%A1%BC%A5%B7%A5%E7%A5%F3">イノベーション</a>も再チャレンジも，耳当たりがいいし政策として正しく実装されれば素晴らしい．だからこそ，集権化や問題先送りの隠れ蓑として使われることのないよう，注意深く見守っていきたい．</p>
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<p class="footnote"><a href="#fn-6cfb0526" name="f-6cfb0526" class="footnote-number">*1</a><span class="footnote-delimiter">:</span><span class="footnote-text">パルミザーノのパクリと思われるのが厭だったのか引っ込めた模様だが</span></p>
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